新型コロナの影響で1年延長となった2020東京五輪が、7月23日開幕した。開催への不安が続く中、1964年夏季五輪以来、東京では57年ぶり二度目。本来ならば、スポーツの祭典として祝祭されるはずの五輪は国民の意見は無視され、「安心・安全な大会」を繰り返すだけの政府が感染対策に有効な手段を選べず、商業主義のIOCに開催国として物申せずに、強行しただけ。ほとんどの競技会場は無観客。テレビ観戦でアスリートを応援するのが最善の方法というしかない制約された開催では、盛り上がらない大会と言わざるをえません。
アスリートたちにも多大な影響を与え、外部との接触を避け、行動は著しく制限され、常にコロナの危険と隣り合わせ。選手を取り巻く環境が大きく変化し、練習や試合でも思い通りに打ち込めないのではないか?五輪がアスリートたちの日々の努力の成果を発揮できる場であることは間違いないが、喜んで応援できないイライラは拭い去れない。
エンブレム問題から始まり、組織委員会の前会長の女性蔑視問題、開幕前の担当者発言による突然の辞意に至るまで、何ともお粗末な発言や人事に、世界各国から批判が集中。菅首相が頼みのワクチン接種率は全体として低く、途中で供給が滞る事態も引き起こされて自治体からも苦情が相次いでいる。
何度も「緊急事態宣言」や「まん延防止等重大措置」が発出されるたびに、それまでの感染拡大の検証は生かされず、結局、収束を期待する国民の希望は「またか、いつまで続くのか?」というつぶされて来ている。
五輪の開催で、これまで以上に人流は多くなり、海外からの水際対策が万全ということは難しい。毎日の感染者数や重症者・死亡者が少しでも増える速度が鈍って、医療逼迫の事態を減らせればと願ってはいるが、果たしてどうであろうか?
もう一つ、気になることがある。開幕前にはメディアは民意を重視した中止の意見を紹介していたが、開幕前日からはテレビでは特番やニュースでも選手の活躍中心の番組編成。立場もわからないではないが、手のひらを返したような評論家もいて、朝三暮四にビックリしている。少しは信念を持って話して欲しいと...。
最後に、五輪、パラリンピックが終わると、菅首相は「五輪の成功」を持って、政府の対策を"良"としようとすると思うが、民意を無視し感染拡大の中、開いた五輪が本当に良かったのか?五輪憲章や意義を再考し、パンデミック下でのイベント強行の危険性を反省、検証して、今後の開催の是非に繋げて行けるかが、問われる。
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